名古屋市名東区の司法書士 酒井健のブログ

婚姻の解消と氏についての一考察

補助者
補助者

離婚や配偶者の死亡による場合などにより、婚姻関係を解消する場合の氏の変更について教えてください。

本職
本職

離婚の場合と配偶者の死亡による場合では考え方が異なりますので、場合分けして考えてみましょう。

なお、選択的夫婦別姓制度が検討されておりますので、将来的に変更となるかもしれません。

また、子供の氏がどうなるかも論点となりえますが、別の記事で書きたいと思います。

免責事項

細心の注意を払って情報を掲載しておりますが、この情報の正確性および完全性を保証するものではありません。執筆時時点の法令を前提に記事を作成しており、法改正等によって結論が変わる可能性もあります。
なお、予告なしに、掲載されている情報を変更することがあります。


離婚の場合

原則

婚姻によって氏を改めた配偶者は、当然に婚姻前の氏に戻ることとなります。

なお、婚姻時夫の氏を選択する場合が約95%とのこと(2016年。出典は下記参考文献①)ですので、離婚により奥様の氏が変わるケースが多いといえましょう。

例外

いったん婚姻前の氏に戻った配偶者は、離婚の日から三か月以内に市町村に届出ることによって婚姻中の氏を使用することができます(婚氏続称)。

なお、この届出を行う方は、40%程度とのことです(2016年。出典は下記参考文献①)。

民法第767条(離婚による復氏等)

1 婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。
2 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から3箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる

再例外

婚氏続称をした方が、子供が成人するなどして婚姻時の姓を名乗る利益が少なくなってくるケースが想定されます。

その場合は、戸籍法の規定に基づき、家庭裁判所の許可を得て氏を変更することができます。

戸籍法の定める「正当な事由」にこの場合は該当するかどうかですが、「婚氏続称を選択したが、その後旧姓(民法上の氏)に戻りたいという場合は、特別に緩やかに認める運用がなされている」とのことです(後記参考文献②)。

戸籍法第107条

やむを得ない事由によつて氏を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。

本職
本職

この規定は、一般的な氏の変更について定めている規定ですので、離婚による場合でなくてもこの規定で処理をすることとなります。

なお、正当な事由に関する細かい点については、同じく下記参考文献②の論文に詳しく説明されています

配偶者の死亡による場合

原則

配偶者の一報が死亡し、生存配偶者が婚姻によって氏を改めたものである場合は、そのまま婚姻中の氏を称するか、婚姻前の氏を称するか選択することができます。

したがって離婚のように自動的に婚姻前の氏に戻るわけではありません

例外

戸籍法第95条の定める届出をすることによって婚姻前の氏に戻すことができます。この場合は、裁判所等の許可等は要件とはなりません。

また、この届出の期限は特に決められていないようです(配偶者が外国人の場合は除く)。

なお、姻族関係の終了の届出とは別物であり、氏を変更しても死亡した配偶者の親族とは親族関係は継続することに注意が必要です。

戸籍法第95条

民法第751条第1項の規定によつて婚姻前の氏に復しようとする者は、その旨を届け出なければならない。

民法第751条(生存配偶者の復氏等)

1 夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。

参考条文 戸籍法第96条

民法第728条第2項の規定によつて姻族関係を終了させる意思を表示しようとする者は、死亡した配偶者の氏名、本籍及び死亡の年月日を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。


参考文献

①二宮周平著『家族法 第5版』2019年

②有吉一郎 「氏の変更」に関する審判と実務 久留米大学法学 2019 77 p78-93

参考文献①
この本は、大学時代に教科書として使っていましたが、実務でも使っています。

このリンクから商品を購入されると、購入金額の一部が当サイトの収入となります。
皆様のお買い物のついでにご支援いただけますと幸いです。