風景を、三層で読む
専門書が語る「歴史」と、AIが繋ぐ「文脈」。
それらをカメラというフィルターに通し、現在(いま)の風景へと編み直す。
私は、その場所にしかない光景をファインダーに閉じ込めます。
岩手県滝沢市の冷たく澄んだ早朝の空気の中を歩き抜いた、ある初夏の日の記録です。今回は長年の念願の一つであった「チャグチャグ馬コ(ちゃぐちゃぐうまっこ)」の深層をカメラで切り取ってみました。
ファインダー越しに見えてくる馬コたちのたくましい息づかい、きらびやかな装束の質感、そして背景に溶け込む日常。
朝5時半の誰もいない境内から始まった「修行」の末に、私が辿り着いた景色を、手元の資料と照らし合わせながら、AI(Gemini)の力を借りて振り返ってみましょう。

岩手山が告げる田植えの季節(…のはずが?)
盛岡市の北西にある活火山・岩手山(標高2038m)の春の雪解けの形(雪形)は、地元の人々にとって「田植え作業を始める目安」とされてきましたようです。
ブログ的にはここで「雄大な岩手山から農耕サイクルを肌で実感!」とか綺麗にまとめたいところですが、実際の私の感想は「ああ、岩手山だな」と思った程度でした(笑)。
なぜかといえば、この日は朝4時起きだったため、猛烈に眠くて頭が全く回っていなかったのですから…
ただ、この「岩手山の雪解け=田植えの始まり」という大自然のサイクルこそが、次に紹介するチャグチャグ馬コというお祭りが誕生した歴史そのものへと繋がっているようです。
…と、資料にはそう書いてあるのですが、この日は、岩手山が綺麗に見えたのは朝方のごく一時だけ。行進が始まってからは、ずーっと厚い雲に覆われて隠れてしまっていました。
こうなると心配なのが、岩手山と馬コが綺麗に収まる定番撮影スポットで何時間も前から三脚を構えていたはずの、カメラガチ勢の皆さんです。私はその現場に直接いたわけではないのですが、主役の背景が完全に雲隠れしてしまったわけですから、きっと現場は「涙目モード」の何とも言えない空気に包まれていたに違いありません……
馬コ信仰のルーツと歴史(実はサラブレッドじゃない!?)
岩手の田植えの歴史と深く結びついているのが、この「チャグチャグ馬コ」で、近世に入ると盛岡周辺では、特に滝沢市の鬼越蒼前神社を中心に、端午の節句に馬を連れて参拝する風習が生まれました。
この時期は田植え前の重労働が続くため、「当日は仕事を休みにして、神社の境内で馬と一緒に1日をのんびり過ごそう」と、1930年代から大切な相棒である馬をねぎらったのが本来の始まりらしいのです。
現在は6月の第2土曜日に開催され、鬼越蒼前神社から盛岡八幡宮までの約15kmを4.5時間ほどかけて歩くお祭りになっています。
ちなみに、ここで主役となる「馬コ」たちですが、競馬場を颯爽と走るスマートなサラブレッドとはまったく違うらしい。彼らはかつて東北の厳しい環境で、人間と一緒に重い荷物を運び、泥にまみれて田畑を耕してきた「農耕馬」の流れを汲む、がっしりとした体格の重種馬(フランス原産のペルシュロンなど)や「日本在来馬」たちなのです。
サラブレッドが「アスリート」なら、彼らは頼れる「職人」といったところでしょうか。太い足と大きな体でどっしりと歩く姿は、スマートさとはまた違う、圧倒的な力強さと、見ているだけで癒やされるような優しい素朴さに満ちあふれています。でも時々暴れだす馬がいて怖かったです(笑)
日本農耕馬の歴史
ここで少し、そんな日本の馬の歴史を掘り下げてみましょう。
先日、目にした日本経済新聞(2026年5月25日付)の記事によると、遺伝学的な研究において、日本の在来馬の祖先はモンゴルをルーツに持ち、5世紀以降に日本各地へと広がっていったと考えられているそうです。
しかし明治以降、日本の馬たちは激動の時代を迎えます。近代戦において、小柄な日本の在来馬は「軍馬に向かない」と判断され、国策によって海外の大型輸入ウマとの交配・品種改良が進められ、大正時代には、軍馬育成を目的とした国定の大型馬以外の在来馬は去勢が義務付けられ、一部を除き古来からこの地にいた「純粋な」在来馬(南部馬など)の生産は事実上途絶えてしまったようです。いま、チャグチャグ馬コで美しい鈴の音を響かせている大柄な馬たちは、そんな歴史の荒波を人と共に乗り越えてきた、混血の「新しい相棒」たちでもあります。
そう考えると、今私の目の前を歩いている馬コたちのたくましい巨体は、過酷な農作業の相棒であったと同時に、明治・大正という時代の波に揉まれ、軍馬としての改良を生き抜いてきた歴史の証明でもあるわけです。気の遠くなるような時間をかけて大陸から渡ってきた遺伝子の歴史と、日本の近代化という国策。
そんな壮大な歴史ロマンと切なさを秘めた馬たちが、時を越えて今もなお、この地で大切に守られ、お祭りの主役として歩いている姿を見ると、なんだか胸が熱くなるものがありますね。
朝5時30分の絶望と、AI二大巨頭に騙された男
さて、ここからが本番です。私は、生成AIであるGeminiから「あなたが意図する写真を撮りたいなら、絶対に朝の6時から現地にいないとダメだ!手遅れになるぞ!」と盛大に煽られ、さらにはChatGPTからも同様のタイムスケジュールをドヤ顔で提示されるという、完璧な「ライバル社同士の二者連携」の無茶振りをされました。したがって、4時起きをして盛岡市のホテルを後にしたわけです。
「最先端のインテリジェンスを誇る2大AIが口を揃えて言うのだから、1分たりとも遅れるわけにはいかない!」
そう真に受けて、4時起きの猛烈な眠気に耐えながら現地へ滑り込んだのは、なんと朝5時30分。
……が、そこにいたのは、手持ち無沙汰そうに佇む観光協会の警備員さんくらいでした。
主役のいない境内で「いくらなんでも早すぎただろ!AIのバカヤローども!!」と、トホホな絶望を噛み締める羽目になったのです。
最先端AIのコンビネーションに、これほど見事にハメられる人間が私以外にいるでしょうか(笑)
にしても奴ら、虚偽の事項をあたかも本当のことのように言いやがる!
参考文献①:岩手県高等学校教育研究会地歴・公民部会歴史部会日本史部会編『岩手県の歴史散歩』 山川出版社 ,2006
参考文献②:琉球の歴史かけた宮古馬.日本経済新聞.2026-05-25,朝刊,p.28.

さてさて、どうなりますか…後編へ続きます。
なお、本記事の制作プロセスにはAI(Gemini)を使用しています。
また、本記事に掲載の写真については、個人の肖像権を害しないものか、掲載許可を得て掲載しておりますが、削除等の要請がございましたらお知らせください。
塩基大納言絵巻episode5 

